第14章 保科家
1時間程するとお母様が昼食の準備をすると席を立たれた。
元々、お昼を一緒にどうかと言われていたのでわかってはいたのだが、この場合、お手伝いした方がいいのか大人しく待っていた方がいいのか…。
そんな私にお母様は気付いてしまったのか、温めたり盛り付けをするだけだけど、手伝ってくれるかと声をかけてくれたので、返事をして後をついていく。
「あの…なんてお呼びしたらよろしいでしょうか?」
「ん?普通にお義母さんって呼んでくれたら嬉しいわぁ。あと、もっと砕けた話し方でええよぉ。挨拶も終わったことやし。」
もうそう呼んでいいのか。
お礼を言って、言われた通りに料理をお皿に盛っていく。
というか、めっちゃ豪華…これを全部お1人で作られたんだろうか。
どうしよう、私こんな料理出来ない。
「美影さん、宗四郎のことめっちゃ好きなんやねぇ。宗四郎も相当惚れとるようやし。ずっと手ぇ握っとったもんなあ。」
一気に顔に熱が集まって恥ずかしくなる。
はい…としか答えられなかった。
そんな私を見てお義母さんは、初々しいなぁ、昔の私らみたいやわぁと笑っている。
食事の準備ができ、いろんな話しをしながらご飯を食べた。
緊張しすぎてあまり喉を通らなかったが、どれも美味しすぎてほっぺ落ちるかと思った。
片付けも手伝って終わってから部屋に戻ると、微笑む宗四郎さんに名前を呼ばれた。
「そろそろ部屋行ってもええ?僕らあんま寝れてへんのやわ。」
宗四郎さんは今日、最終便で帰るらしく、夕方まで寝させてくれとご両親に話す。
初めてお邪魔するご実家で寝るなんてやばいかもしれないが、私一人でご両親といるのはさすがに無理だ。