第14章 保科家
宗四郎さんのお母様とお父様が来たので、すぐに挨拶をして頭を下げたが、宗四郎さんが手を離してくれない。
宗四郎さん手、と小声で言ったが、離してくれる気はないらしい。
お二人が座って私たちにも座れと言ったので、宗四郎さんに手を引かれながら、用意された座布団に座った。
このままじゃ、私の印象が…。
「もう電話では話したんやけど、僕、美影と結婚したいねん。せやから、保科流刀伐術も教えた。何があっても離したない。」
「まあ、これは形だけやしな。刀伐術を教える許可した時点でもう、決まっとったことや。」
だから刀伐術を私に…。
美影も言いたいことあるやろ?と言われた為、ご両親を見つめた。
まず、時間を作ってくれたことへの感謝を述べ、続ける。
「まだお付き合いさせていただいてからあまり長くはないのですが、先日、私の母に挨拶してくださった時、私だけではなく母や妹のことも、何よりも大切にすると言ってくださったんです。」
その時思ったのですと続ける。
緊張して声が震えてしまっているが、ちゃんと話せているだろうか。
「宗四郎さんとなら、温かい家庭を築けると…。まだまだ至らぬところが多い私ですが、今後ともどうぞよろしくお願い致します。」
座布団から降り三つ指をついて頭を下げた。
ええ子やろ、可愛ええやろと宗四郎さんの自慢げな声が聞こえる。
恥ずかしい…。
「そやねぇ、ええ子やねぇ、可愛ええ子やねぇ。」
お母様の柔らかい声が聞こえてきて、嬉しい反面、余計恥ずかしい。
その後は日程等はどうするのかと聞かれ、全て宗四郎さんが返してくれた。
大丈夫だろうか、私、ほぼ話せていない。