第3章 辛苦
どないしたらええんやろ。
新人たちの訓練を見ながら、三浦のことに頭を抱える。
男も知らないように見える女が、自分から誘ったようには思えない。
だが、西野は誘われたと言うし、三浦は何も言わないし…。
そもそも僕がこんなことをしてると彼女が言えば、僕が危ないのに、何故こんなことをしてるんだろう。
「副隊長、どうなりました?」
突然後ろから話しかけられて振り返ると、今まさに僕が頭を抱える原因の1人がいた。
さて、どう言ったものか…。
「なんも言わへんからなあ。他にも聞きたいことあるし、もう少し待っとってくれ。すまんな。」
西野は少し不満気な顔をして、わかりましたと言って去っていった。
西野が嘘を言っているようにも見えないし…なにが真実なんやろか。
隊長に頼まれてることも確認しなければならない。
訓練に真面目に取り組む三浦の姿を捉える。
お前はなんで防衛隊員なったんや?
彼女の振る舞いからして、僕に好意があるように見える。
だが、西野を誘っていた。
男なら誰でもいい…わけではないみたいだし。
好きな人とだけしたい言うてたもんなあ。
吐かせる為にああいうことをしているが、彼女の傷付く姿を見ていると、胸が痛くなる。
はよぅ言ってくれや、三浦。
訓練に精を出す彼女を睨んだ。