第12章 識別怪獣兵器10
どうせもうバレてしまっているからと、指を絡めて恋人繋ぎにして手を離してくれない。
私も宗四郎さんも防衛隊のジャージを着ているので、道行く人々の目線が痛い。
ギュウギュウの電車に乗ると扉の前に陣取って、私を扉側に置き後ろから抱きしめてくる。
なんとか箱詰めにされた電車を乗り切り、立川基地についた。
「もうちょいはよ出てくればよかったな。」
一度副隊長室に来て宗四郎さんの部屋にスマホ等を置いて通信機を耳につけながら、通勤ラッシュに重なってしまったことを後悔する。
副隊長室に来るまでにすれ違った隊員たちが全員、宗四郎さんを綺麗に二度見していた。
それを思い出して笑っているとなんで笑ってるんと問われたのでそのことを答えると、はっず…と額を押さえて少し頬を赤くさせる。
絶対10号になんか言われるとボヤいているが、そのままにすることを選んだのは宗四郎さんだろう…。
手を引かれて副隊長室を後にすると、そのまま隊長室に向かった。
「なんだそれは、保科。」
「ちょっ、撮らんといてくださいよ…。」
亜白隊長は宗四郎さんの前髪を見てすぐにスマホを構えた。
撮りたくなる気持ちわかります。
せっかくお揃いにしているのだからと、今度は私と宗四郎さんのツーショットを所望してきた。
ただ隣に立って撮られるのを待つ。
「普段通りにしてくれ。もっと仲良さそうに…。」
それを聞いた彼は、後ろから手を回し私の頭を引き寄せて、自身の頭をくっつけた。
驚いて彼の方を向き引き離そうと胸を押したが、その手を握られてしまい、恥ずかしくなって俯く。
何枚か撮ると、亜白隊長は満足したようにスマホを置いた。
亜白隊長と少し話してからオペレーションルームに向かう。