第12章 識別怪獣兵器10
ぽーっと見つめているとどうしたんやと目を開いて見られた。
「うっ、かっこいい…ひぐぅっ…!」
「ふはっ!なんや、どうしたんや今日。」
防衛隊に入った頃みたいに、副隊長オタクを発揮してしまう。
前髪上げなきゃよかった…絶対そのせいだ。
「やっぱり前髪下ろしましょう。それがいいです。絶対そっちのがいいです。」
せっかくお揃いにしたんだからこのままでいいだろと笑うので、かっこよすぎて直視できないと呟いた。
「しょうがないやん、僕かっこええもん。この顔がいつもよりもちゃんと見えてまうねんで?そりゃあかっこよすぎて、倒れてまう人おるかもなあ?」
冗談で言ってるのか本気で言ってるのか、全然わからない…。
目を開いたまま舌をべーと出している。
これは…これは絶対に人前でさせてはいけない。
卒倒する人がいるかも、もしかしたら吐血する人もいるかもしれない。
このままだと私も倒れてしまうので、目をギュッと瞑った。
絶対にその顔は私以外には見せないでと念を押すと、そないに僕の顔好きなん、君だけやでと言われてしまった。
いや、ちょっと町に出れば、モテモテじゃないか。
「君、僕のこと、顔で好きなったやろ?ずっと見とったもんなあ。」
確かに顔はどタイプだ。
でもあの時好きになったのは、決して顔だけではない。たぶん…。
「私のこと、助けてくれたからだよ…一瞬で。そして私に笑顔を向けてくれた。そんなのもう、好きになるしかないじゃんかぁ…。」
「はっ、単純やなぁ。でも僕、単純な子好きやで。」
そう言ってちゅっとキスをされた。
でもその唇はすぐに離れてそろそろ行こかと、私を抱えたまま立ち上がる。
なんで抱えたままなんだ…。
降ろして欲しいが、そのまま彼の首に手を回してしがみついてしまう。
少し屈んで自分のスマホを持てと言われたので、ソファの上にあるスマホに手を伸ばし取った。
部屋の中を確認してから玄関に来ると降ろされ、靴を履いて部屋を出た。