第10章 第1部隊
いい感じのところを見つけたので、すぐにそこへ向かった。
防衛隊のジャージのままなので、そこまでオシャレなところではないが雰囲気がよく、あまり騒がしくなさそうなところだ。
私はたらこパスタ、宗四郎さんは和風きのこパスタを選び、話しながら食べていると、すごくデートって感じがして、終始ドキドキしていた。
途中でよく若い女性が宗四郎さんに話しかけてくることに胸がモヤモヤしていたが…。
その度に宗四郎さんは笑顔で対応しているが、だんだん顔が疲れていき不機嫌になっていく。
「僕はアイドルとかとちゃうねんぞ…彼女と飯食っとんねん。」
それには苦笑いで返すしかなかった。
自分の連絡先を私がいるのにも関わらず渡して来ようとする人まで現れた。
ちょっとモテすぎではありませんか…?
「すんません、そういうのは無理です。」
彼は断っているが、カッとなって不機嫌丸出しの声を上げてしまう。
「私がいるのがわからないんですか?2人きりでご飯を食べに来てるんです、どういう関係かわかるでしょう?」
睨めばその女性はバツが悪そうに離れていく。
心が狭いのだろうか?それとも怒るのは当然なのか?
誰かと付き合うのは宗四郎さんが初めてなのでよくわからない。
「はははっ、僕より怒っとるやん。……ええで、もっと怒りぃ。おかしなるくらい妬いてや。そんで、どこにおっても僕のことだけ考えとって…。」
恍惚とした表情を浮かべ、少し目を開き見つめてくる。
こんなところでなんて顔をするのだ。
その変態的な発言に高鳴る自分がいた。
そんな顔しないでと目の前で手を振って顔を背ける。
お店を出て基地につくと、帰したくないと抱きしめられる。
誰かに見られたらどうしよ…。
「帰さなあかんのわかっとるんやけど、嫌やぁ…。」
スリスリと私の髪に頬を擦り寄せて甘えてくる。
そんな彼の背中をトントンと叩いた。
私だって帰りたくない、このまま彼に連れ去って欲しい。
そんなの許されないのをわかっているから、頬に口付けて離れた。
またねと言うと、いつでも連絡してきていいから、声を聞かせろと言われた。
それに笑顔で首を縦に振って基地の中に入る。