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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第10章 第1部隊


急いで蛇口があるところに行き、蛇口を思いっきり捻って勢いよく流れた水を口につけてゴシゴシと擦る。

やだやだ…宗四郎さん以外の人とキスした。


私の頬を濡らしているのは涙なのか水なのか…。


口を擦っているのとは反対の手でポケットからスマホを出し、彼の名前を見つけてすぐに通話ボタンをタップする。

出るかはわからない、このことを言っていいのかもわからない。
でも、言わなきゃいけないと思った、彼の声で優しく慰めて欲しい…。


1コールで音が途切れ、かわりに愛しい人の声が耳に届く。


「どしたん?僕の可愛い美影ちゃん。」


機嫌よく優しく声をかけてくれる彼に私は、泣きながら彼の名前を呼んだ。


「宗四郎さん…ごめんなさい、私…鳴海隊長に、キスされた……。」


その言葉を聞いた彼の方からガタッガシャンという大きな音が鳴る。

クソッと悔しさを滲ませた声を吐き出した。


「今終わらせなあかんもんがあんねん。それ終わらせたらすぐそっち行くから、近くの公園まで出て来てくれへん?」


僕が許可もなしに第1部隊の基地に足を踏み入れたらあの人がうるさいからと、優しく言ってくれる。

それにありがとう待ってると伝えると、名残惜しそうに通話は切れた。


「宗四郎って、あの副隊長のオカッパか?」


すぐに振り向いて後退る。


「すまなかった。もう君の許可なしに触れたりしない。泣く女を無理やり組み敷く趣味はボクにはない。」


その彼の言葉は信じてもいいのだろう。
先程、泣いた私に気付いた彼は力を緩めた。

それに、そう言う彼の顔は後悔の色が濃く現れている。

元々好きだった人だ。信じてしまうのも仕方ない。
嫌いになったわけではないのだから…。

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