第10章 第1部隊
彼はそれ以上近付いてくることはせず、保科と会うのならボクも行く、保科はボクに用があるだろう?と、私についてくることにしたらしい。
正直、鳴海隊長と2人きりになるのは怖いし、宗四郎さんがあの時のように殴りかかってしまうかもしれない。
第1部隊の隊長を殴っては問題になってしまう。
それを伝えても行くと言う。
殴られても文句は言えないし、例えそうなったとしても誰にも言わないと言うので、渋々承諾した。
私と宗四郎さんの関係に気付いた彼は、悲しそうに笑った。
びしょびしょになった袖を絞ってポケットの中からハンカチを取り出し、口を拭いた。
ゴシゴシ擦ったせいかヒリヒリする。
まだ仕事が残っていると言っていたが、先に公園に行って待ってようと思い、袖が濡れたままだが外に向かう。
鳴海隊長は私と距離を取ってついてきた。
公園についてベンチに座ると、鳴海隊長は少し離れた街灯に背中を預ける。
「あの…変なことをしないのであれば、そんなに離れなくて大丈夫です。それだと、逆に落ち着きません。」
チラチラと視界に入ってくるのが気になりそう声をかければ、すぐ近くの街灯に移った。
たぶんもう、本当に何かしてくることはないだろう。
そう思っていても、警戒心は解かない。
メッセージアプリの通知音がなりスマホを見ると、宗四郎さんからこれから向かうというメッセージが来ていた。
それに待ってますと返してスマホの画面を暗くした。