第10章 第1部隊
スーツに着替えてヘリの窓から第1部隊の戦闘の様子を少し眺める。
怪獣の進路を支配しているのか。
第1部隊は強者揃いのようだ。
きっと、全隊員が解放戦力40%以上、小隊長クラス以上の力を持っている。
キコルちゃんと共に鳴海隊長と合流する。
すると彼は、キコルちゃんと私の名を呼ぶ。
「礼儀も身なりも勤勉さも品位も、ボクはキミらに求めない。要求は一つだ。」
そう言って前髪をかき上げると、手袋にワックスでもついているのかと思う程、髪は落ちてこない。
いや、今考えるのはそこではない。
鳴海隊長がヘリから飛び降りて行ってしまったのだ。
降下しながらケースの中から武器を取り出すと、それは彼よりも大きくなり、銃に刃がついている。
彼の専用武器だろう。
彼はそのまま怪獣に突き刺すと、雷が落ちたような衝撃が怪獣を襲う。
そして引き金を引くと、何発もの銃弾が直接怪獣を撃ち抜いていく。
怪獣は血肉を海に飛び散らせながら息絶えた。
「圧倒的な実力を示せ。行儀のいい無能ならいらん。」
怪獣に刺さったままの銃剣の先にしゃがみ、私たちを見上げながら薄く笑みを浮かべている。
かき上げた前髪は元に戻っていた。
その髪から海水が滴り落ちる。
これが…日本最強の対怪獣戦力を誇る、鳴海弦という男なのか。
そんな彼を眺めていると、銃剣の上でゲーム機を取り出しそれを弄り始めた。
大丈夫なのか…と呆れてしまった。