第9章 決断
映画が終わると項に何度もキスをしてきたので引き剥がした。
「宗四郎さんのせいで変な気分なった。」
「え?したいん?」
その言葉は無視した。
どうせ出来ないし…。
寝よかと言って私ごと立ち上がり、新品の歯ブラシを出して持ってきてくれた。
お礼を言いながら受け取り歯磨きを終わらせると、寝室まで連れて行かれる。
ベッドは副隊長室にあるものより大きい。
おいでと言って横になり布団を上げている彼に近付き布団の中に入ると、その腕に閉じ込められる。
「信じとるけど、やっぱ怖いもんやな……鳴海隊長に惚れんでよ?ちゅーか、男怖いんなら行くなや。」
「惚れはしないけど……行きたい。もっと強くなりたい。あなたの背中を追いかけるのではなく、あなたの隣で一緒に戦いたいから…。」
ちゃんと警戒心を持てと言われた。
守れないからと。
もう宗四郎さん以外の男の人と2人っきりになったりなんかしない。
傷付くのは私だけじゃないから…。
彼を好きになった時から決めていたのだ。
どんな困難でも乗り越えて強くなり、憧れの人と共にこの国を守ると…。
宗四郎さんの胸に顔を擦り寄せながら、残り数時間で離れなければいけなくなる寂しさを紛らわせた。
今度会う時までに指輪を用意しとく、と寝言のように呟きながら宗四郎さんは規則正しい寝息をたて始めた。
「愛してる。」
聞こえていないだろう彼にそう呟いてから私も眠った。