第9章 決断
廊下で市川くんと古橋くんに会い、驚かれてしまった。
2人が声を発したり少し身動きを取るだけで、恐怖を感じて僅かに身体を震わせる。
今までこんなことはなかったのに、どうして…。
怖くて宗四郎さんの腕にしがみつけば、何かに気付いた彼が2人にちゃんと訓練をしてろと声をかけて、2人から離れた。
どうしたのかと聞かれたので、正直に怖かったと伝える。
宗四郎さんは顎に指をかけて考える仕草をとった。
「僕は怖くないん?めっちゃ触ったで。」
彼のことは怖くないのでそう伝えるとまた彼は首を捻った。
亜白隊長のことも怖くなかったと伝える。
斑鳩小隊長や警察の方たちはよくわからない。
まだ催淫剤の効果が強かった時だったから。
とりあえず、歩きながら話そうと手を引かれる。
その後も廊下を歩く男性隊員を見ては、宗四郎さんの腕をギュッと掴んだ。
このままだと防衛隊員を続けるのは厳しそうだ。
どうにかしなければ…。
基地の外に出て軽食を摂ろうと言われたので、そのまま手を繋ぎながら歩く。
「男が怖いん?反応見とるとそんな感じやったけど…。」
そうかもしれない。
女の人は大丈夫だったし…。
その言葉にコクっと頷いた。
「それやと、移動させられへんな…。ちゅーか、どうにかせんと防衛隊続けられへん。」
防衛隊は女性より男性の方が多い。
だが、我慢すれば大丈夫だろう。
少し距離を置いて話していれば、ましになるだろうし…。
大丈夫だと言ってどこに行くのか聞いてみた。
さすがに軽食を摂りに行くだけではないだろう。
どうやら軽食を摂って産婦人科に行き、時間を見て私の家へ行って、その後はディナーデートだそうだ。
デート…その響きに心が踊った。
産婦人科には連絡をしといてくれたらしく、よく防衛隊員が受診しているところだそうだ。