第2章 防衛隊選別試験
バイトやトレーニングで疲れた身体を十分に回復させてくれなかった睡眠を終え、母が用意してくれた朝ご飯を食べながらボーッとテレビを眺める。
どうやら、朝方に怪獣が現れたらしく、先程第3部隊が討伐を終えたらしい。
凛としたかっこいい女性…亜白ミナ隊長がテレビに映し出されていた。
その後に続いて映された人物に驚き、立ち上がり箸を落とした。
「ちょっと美影!いきなりどう……あら、この人って、あの日美影を助けてくれた……。」
叱りつけようとした母は、私の目線の先を追いソレを捉えると、そう呟いた。
テレビの画面には、【第3部隊副隊長 保科宗四郎】と書かれている。
「ほ、ほしな、そう、しろう……。」
普段テレビを見る余裕もない私はこの時初めて、あの人の名前を知った。
ずっと恋焦がれていたのに、私は知ろうともしていなかった。
それよりも、あの人のように強くなりたいと、笑顔で誰かを助けたいと、そればかりを考えて日々トレーニングに明け暮れていた。
恋をしている暇ではないと自分に言い聞かせながらも、ずっと胸の奥底で燻っていた熱が解き放たれる。
その抱えきれそうにもない大きい想いが涙となって溢れ、瞬きもせずにテレビを見つめていた。
「美影?………もしかしてあなた…。」
そんな私を見ていた母は気付いたようだ。
奥底に沈めていた想いが今溢れていることに。