第9章 決断
「なにしとるんや。」
見上げれば、顔を汗で濡らし肩で呼吸をする宗四郎さんがいた。
先輩の動きが止まる。
「た、たすけて……。」
泣きながら彼を見つめれば、着ていたジャージを脱いで私にかけ、先輩に向かっていった。
「三浦、大丈夫か?」
「斑鳩、小隊長…。」
斑鳩小隊長に肩を持たれ少し反応してしまった。
小隊長に助けてもらいながらなんとか上体を起こして座る。
振り返れば、宗四郎さんが先輩に殴りかかっていた。
仰向けに倒れた先輩に馬乗りになり胸ぐらを掴む。
「なにしたかわかっとるんやろうな?僕に殺されても文句言えへんで。」
すごく低い声で怒鳴り、怒りを露わにしていた。
「宗四郎さん、もういいです…。」
私の言葉で少し落ち着いたのか、立ち上がり私の服を戻して抱えてくれた。
先輩はおかしくなったのか宗四郎さんに対して、まだ手を出していないのか、と嘲笑った。
「なにアホなこと言うとるん。さっきまでグチャグチャに乱れさせて、抱いとったわ。」
先輩は信じられないという顔で宗四郎さんを見つめていたが、すぐに笑って勤務時間まで終わるといいなと言った。
「お前、なんか盛ったやろ。」
「10回分を1回で飲んだんだ。今相当きついんじゃないか?」
あとは何も答えずに宗四郎さんは私を抱いたまま歩き出す。
斑鳩小隊長に先輩を副隊長室に連れて来るよう指示をした。
斑鳩小隊長とは途中で会ったんだろうか?
疼く身体を抑えながら、あの日のように大好きな人の腕の中でその顔を見つめた。