第3章 辛苦
入隊してから1ヶ月程経ち、日々訓練に明け暮れていた。
解放戦力も少しずつだが増えてきていて、今は7%になった。
みんなに比べると伸び率が低いのだが…。
立川基地での生活も慣れてきたのだが、1つとある問題が私の頭を悩ませている。
西野先輩という既婚の一般隊員がいるのだが、何故かこの人に言い寄られている。
愛する奥さんがいるのに何故そんなことをするのか…。
そのことはキコルちゃんも知っていて助けてくれたりするのだが、常にキコルちゃんがいるわけでもないし、何度も年下の女の子に助けてもらうわけにもいかない。
みんなが訓練等を終わらせて部屋に戻る中、私は1人でトレーニングルームにいた。
「精が出るな。」
誰もいないと思っていたので、声がしてびっくりしてしまった。
「副隊長!お疲れ様です!」
すぐに姿勢を正して向き直り、敬礼をする。
勤務時間外だから畏まらなくても大丈夫やでと優しく言ってくださる。
そして、チャンスだと思い、治療中の時の失礼を詫びた。
「そんな謝んでええ言うたのに。」
笑いながらそう言って壁に背中を預けた。
一言二言話すと副隊長はあまり遅くまでやんなよと言って、軽く私の頭をポンポンとしていなくなった。
身体をプルプル震わせながら彼が見えなくなるのを待ち、見えなくなったところで膝から崩れ落ちて頭を抱えて、声にならない声を叫んだ。
不意打ちはダメ…心臓止まるかと思った。
「はぁ……好き……。」
少し視界が滲む程に想いが溢れる。
これ以上は言葉にしてはいけないと、想いを涙にのせて少しだけ零した。