第9章 決断
話が終わると隊長が突然何かを思い出したように声を上げた。
「市川もいることだし…市川と三浦、未許可の私語により腕立て50回だ。」
ん?
私語?何かしただろうか…。
どうやら、先輩を見送った時のことらしい。
あれか…。
副隊長が笑いながら頑張りやと応援してくる。
他のみんなもだ。
「先輩、やっちゃいましょう…。」
市川くんに頷き、2人で並んで床に手をつく。
そのまま腕立てを始めた。
普通に筋トレをしている時は何も思わないのに、今はものすごく恥ずかしい。
10回を超えた頃、背中に重みを感じた。
なんと、副隊長が座ってきたのだ。
「これは僕からの罰や。」
顔を見ることは叶わないが抑揚のある声を聞いて、楽しんでいるのだとわかる。
何の罰ですか…。
「む、むりです…許してくださいっ…!」
何に対してかはわからないが謝った。
彼を乗せて腕立てなんて出来たもんじゃない。
スーツを着ていれば話は別だが。
まだ怪我が治ってないのをわかってるくせに…。
隊長に注意されていたが、何故か許されてしまった。
どうして…。
重みに耐えながらなんとか50回を終わらせてその場に倒れ込む。
市川くんは少し呼吸を乱しただけですぐに起き上がった。
この差はなんなのだ…。
副隊長か…。