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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第7章 立川基地襲撃


夜が明けていく中、座り込んだ四ノ宮に手を差し出し立たせると、後ろから隊長が来た為、すぐに敬礼をした。


「三浦はどうした?」


「え?」


「あの時、怪獣に掴まれていただろ?」


すぐに辺りを見回し、彼女の姿がないことに気付く。

さっきまで一緒に戦っていたのに…。


耳に手をあて通信を繋ぐが返事がない。
どこや…。

その時、通信機から微かに彼女の声がした。


「ふく、た、いちょ…。」


「三浦!?どこや!どこにおる!?」


どうやら、身体が全然動かないらしい。
オーバーヒートしたのと、全身を打ち付けた痛みで。


急いで本獣の残骸があるところに戻り彼女を探す。

本獣から少し離れたところに横たわっているのを見付けたので駆け寄ると、痛みで顔を歪ませていた。


打ち付けた痛みということは、打撲か?


「もう大丈夫や。よう頑張ったな。」


「副隊長こそ、よく頑張りましたね。」


微笑みかけた僕の言葉と同じように返す彼女の声は、とても弱々しく、絞り出したようなものだった。


「アホか、あたりまえやろ。」


あまり刺激しないように横抱きで抱え上げ、隊長のところに戻る。


隊長は三浦に、手に握られているのはわかっていたが撃つしかなかったと謝罪していた。


もう大丈夫だと言うように降りようとするので、ゆっくりと立たせて、彼女の腕を持ち支える。


隊長と一緒に余獣の殲滅をしようとするが、隊長にお前は休めとチョップされてしまった。

その為、四ノ宮に預けようとしていた三浦を自分の元に戻し、支え直す。


中之島たちに隊長も休めと言われていた。
自分たちがやるからと。


この襲撃を隊長が戻るまで耐えきることが出来た。
隊長に繋ぐことが出来た。


そろそろこの、愛しい人をこの手に……。

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