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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第6章 慰労会


彼は飛んでいった刀を取りに行くことなく私に近付いてくる。

目の前に来ると私の頭の上に手を置き、ガシガシと撫でた。

戦闘で乱れた髪がもっと乱れ、パラパラと視界に入ってくる。


「手加減してや言うたんに…ほんま、君を選んでよかったわ。」


私を選んでよかった?なんのことだろう?

副隊長を見つめると、笑ったまま私に背を向け、刀を取りに行く。


呆けていると、いつの間にか刀を鞘に戻した副隊長が目の前に戻ってきて、顔にかかった髪を耳にかけた。

そして、もし…と前置きをして話し始める。


「僕と一般市民が人質に取られとって、どちらか一方しか助けられへんとしたら、どっち選ぶ?」


いきなりなんの話をしているんだろう。

そんなの……私は防衛隊員なのだから一般市民を選ぶだろう。
でももし…ただ一人の女として生きられるのならば……。


「一般市民を選びます。私たちはその人たちを守る為に戦っているのですから。」


「僕、死ぬんねんで?」


「はい。それでも一般市民を選ぶでしょう。……ですが、その時私が防衛隊員でなければ、迷わずあなたを選びます。」


少しの間じっと見つめられ、私も同じように返していると、ええ答えやと突然ニコっと笑った。


何を確かめたかったのだろう。


手を差し出されたので、その手を握るとぐっと引っ張られ立ち上がる。


今は考えるのをやめて、残りの訓練に専念した。

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