第6章 慰労会
いきなり彼は私に突っ込んできた。
副隊長の攻撃を受け止めた私の腕は、前よりも痺れている。
前より10%も多く戦力を解放しているのだ、当たり前だろう。
「よそ見したらあかんで。僕が全解放してたら死んどる。」
「っんとに、体調悪いんですかっ!?体調悪い人の動きじゃないですよ!!」
一瞬の隙もなく繰り出される攻撃を躱したり防いだりしながら、攻撃の機会を窺う。
こんなんじゃ勝てない…もっと、もっと…もっと!!
弱いままだと彼は私を庇いながら戦うだろう。
そんなことをしていたら、勝機を失ってしまう。
彼が背中を預けられるくらい強くならねば…。
反撃を開始する。
一撃一撃を全力で振り込んでいく。
副隊長はだんだん躱すことが出来なくなり、刀で防ぐ。
何度も何度も刀を振り、相手に攻撃の隙を与えてはならない。
小此木さんの声が耳に響く。
「三浦隊員、解放戦力63%…65%…66%…69%っ!!」
小此木さんの声が止まった。
攻撃を繰り出す度に上がっていく解放戦力は69%で止まる。
「まだまだやなあ!お前ならもっといけるはずや!」
その言葉に力を入れるがそれ以上は上がらなかった。
身体の限界が近付き、最後の最後に今までで1番力を込めて刀を振ると、防いだ副隊長の刀は後ろに飛んでいった。
小此木さんが83%と呟く。
だがそれはすぐに69%に戻り、スーツは駆動限界を迎え、力が入らなくなる。
途端に苦しくなり、膝をついて荒く呼吸をする。
最後一瞬だけ83%まで上がった。
今、その力を引き出すのは1振りが限界なのだろう。
その一撃だけ副隊長の解放戦力を上回ったので、弾き飛ばすことが出来た。