第6章 慰労会
少し経って、脱衣所の扉が開けられた。
「あ、美影戻ってきとるー。めっちゃ具合悪いねん、甘やかしてやー。」
全裸のまま抱きつかれてしまった。
髪からポタポタと雫が零れる。
「ちゃんと髪拭いてください。そしたら朝食の時間まで甘やかしてあげますよ。」
具合は悪そうだが、この感じならいつも通りとはいかないが、普通に仕事出来るだろう。
それよりも、可愛過ぎて発狂するところだった。
彼を引き離してベッドに座らせ、頭にかかったタオルごと包み優しく拭く。
ドライヤーはしなくていいのかと聞くと、タオルドライで粗方乾いてしまうからいいと言われた。
ちゃんと手入れしている雰囲気はないのに、どうしてこんなに髪が綺麗なのだと、恨めしくなった。
拭き終わると私のお腹に抱きついてくる。
「撫でてやぁ...。」
撫でろと催促がきたので、そのサラサラな髪を撫でた。
思わず甘えん坊...と呟いてしまった。
「君やから甘えるんや。自分も僕にしか甘えへんやろ?」
後半の言葉に圧がかかっているんだが...。
もちろん、宗四郎さんにしか甘えるつもりはない。
スリスリと私のお腹に頬を寄せて甘え続ける彼に、そろそろ時間だと言えば、服を着て連れて行ってやと後ろから抱きつかれる。
もちろん抱えて連れて行くことは出来ないので、無理だと言って歩き出そうとしても、腕を離そうとしないので、歩きにくいがそのまま部屋を出た。
「歩きにくくないんですか?」
「ええねん。」
何がいいのかわからないが、どうなっても知らないと食堂に向かう。
私の肩に乗せた腕をだらんと垂らし頭を乗せているのを見て、相当気持ち悪いんだなと、少し可哀想になった。