第6章 慰労会
気持ち悪さに目が覚めるとそんなに経っていないようで、まだみんな騒いでいた。
先程の自分の振る舞いを思い出し恥ずかしくなる。
どうせなら、記憶もなくなってくれよぉ...。
今にも胃の中のものが出てきそうなので、部屋を出てトイレを探した。
そういえば、副隊長いなかったなと思いながら薄暗い廊下を歩く。
なんとかトイレに辿り着き、ほぼ何も出なかったので、用を足して部屋に戻る廊下を歩く。
微かに声が聞こえたのでそちらに近付くと、女の人の声で副隊長と聞こえた。
私が彼に甘える時のような猫撫で声だ。
身体が一気に冷え、声のする方に急いだ。
嫌だ...どうか私の勘違いであって欲しいと願いながら、声のする場所に辿り着き何が行われているのか確認する。
私よりも年上の同期が彼に抱きつき、腰を擦り寄せていた。
その光景に指先まで動かなくなり固まってしまう。
か細い声でどうしてと呟くが、私には問い詰める権利がないことを思い出し口を噤んだ。
「付き合ってないんでしょ?ならいいじゃん。私が副隊長と何しても...。」
同期がニコッと嫌な顔で笑う。
副隊長は私をじっと見つめてから、その女性に目線を移す。
なんでそっちを見るの...?
「気付いてへんのか?さっきから擦り付けとるけど、僕の反応してへんで?」
そのいつもとは比べ物にならない低い声は、相当怒っていることを示していた。
同期の女性はEDなのかと変なことを言っている。
怒っていることに気付いていないのか、はたまた、それは自分に対してじゃないとでも思っているのか...。
「ED、か...試してみよか?」
何を言って...嫌だ、私以外の人に触らせないで...。
副隊長のえっち〜とか言っているが、そういうことをしたかったんじゃないのだろうか。
「美影、ちょっと触ってくれへんか?」
その女性に向けたような鋭い視線でもなく怒りを含んだ声でもなく、ただただ優しく私に問いかける。
副隊長のその言葉に女性は驚いている。
私も驚いているが...。
だが、その言葉に頷き近付くと、副隊長は女性を引き剥がす。