第3章 お願い先生っ! 五条×生徒
私には許婚がいる。
の家に生まれた瞬間から決められていた許婚。
何人か候補がいるらしいが、私が15になった時正式にそう決まったらしい。
そんな許婚とは、ほぼ毎日顔を合わせている。
「おっはよー!」
「もう11時だ。馬鹿目隠し。」
真希ちゃんは教室に入ってきた五条先生に向かって冷たくそう言った。
「だってぇ、仕方ないことがあったんだよー。」
ふざけた間延びした返事と声に、真希ちゃんは余計に眉間に皺を寄せた。
「まぁまぁ、真希さん。課題は与えられてたんだから。」
真希ちゃんの隣に座る憂太くんは彼女の怒りを収めようと微笑んだ。
あらかじめ学長から課題は与えられていて、先程それも終わったところだった。
それに、五条先生がいないことはよくある。
彼は特級術師だし、任務やら出張やらで出払っていることが多かった。
しかしその度に私たちのために課題やプリントなどは用意してくれていた。
それに私は知っている。
さっきまで京都の御三家の会議に出席してしていたことを。
五条先生が生徒たちにそれを言わないのであれば、私もわざわざ言ったりはしない。
五条先生は私を生徒としてしか接しない。
たとえ彼が私の許婚であっても。