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鈴をつけたクリーパーちゃんとエンドラ討伐

第21章 お疲れ様


「お疲れ様です、たいたいさん」
 無事にエンドラ討伐を終え、初期リスに戻ってきた俺の通話に入ってきたのは、間違いなくウエノ氏だった。いつの間にかゲーム画面の隣に立っている。
「ウエノさん、びっくりしましたよ〜、すごいMOD? ですね」
 と俺がウエノ氏に賞賛の言葉を伝えると、ぽんっと横にクリーパーちゃんを繰り出した。
「前に言ってたので、こっそり作っていました。特殊エンドラ討伐、したかったんでしょう?」
「だからって最初からこれは重いですよ! 楽しかったけど!」
 ウエノ氏の言葉に俺がそう突っ込むと、ハハハッと楽しそうに笑いを返された。ストーリーも持たせたかったとか、最初こそ作りこみたかったとか、色々話して。
 視聴者さんのリアクションも好感触で、え、いつの間にこんなに同時視聴者数増えてたんだ、と俺が驚いた。そろそろお昼の時間。ちょっとした隙間に見に来てくれた人がいるのなら、突然のクリーパーちゃんにはびっくりしただろうな。
「それにしても驚きましたよ。エンドラの声はネコおじさんですよね?」
「はい、そうですね。依頼してやってもらいました」
「じゃあ、クリーパーちゃんの声は誰がやったんです?」
「え?」
「え」
 ウエノ氏からの思わぬ反応に、俺は困惑した。見ると視聴者さんたちも「?」のコメントだらけ。俺は、ウエノ氏からの言葉を待った。
「クリーパーちゃんの声はついていないですよ」
 本当は声もつけたかったんですが、男の俺じゃあ無理でした、とかなんとか言っているウエノ氏の言葉を横に、そこらでウロウロしているクリーパーちゃんを見やった。
 クリーパーちゃんはぴょんぴょん跳ねたり、くるくるしたり、こちらと目を合わせたりと自由気ままに動き回っていた。だが、クリーパーちゃんは一言も話さない。じゃあ、今まで俺が聞こえていたのはなんだったのかとコメント欄を見直しても、クリーパーちゃんに声はなかったと言う人しかいなくてますます混乱した。
「俺、幻聴聞いてたのか……?」
 俺の手持ちには黄金色をしたクリーパーと鈴が入っていた。鈴にカーソルを合わせると、リンリンッと音が鳴った気がした。

 おしまい
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