第1章 プロローグ
「…!悠さんっすよね…?」
ふと呼ばれたほうを振り返ると、そこには見慣れた男の子がいた。
「有基くん…?」
「やっぱり!でも、なんで悠さんがここに…?悠さん、女の子…」
私は慌てて彼の口を塞いだ。周りに他の生徒がいなかったのは不幸中の幸いだ。
「しー!それ、絶対他の人には言っちゃダメだからね!?」
こくこくと頷く彼を見ては早々に解放してやった。ついでに私が男子校にいる理由も説明して。隠しても無駄だからね。
「大変っすね〜…よく気付かれなかったっすね?」
「まぁ、それは私もびっくりしたよ。案外バレないもんなんだね」
そんな他愛ない話をしていると彼が閃いたような顔をして。
「悠さん、この後用事あるっすか?なければ防衛部に遊びにきてほしいっす!」
防衛部…?なんだ、それは。
「…行ってもいいけど」
気になるし。
「それじゃさっそく部室行くっす!」
部室あるんだ。なんて思っていれば半ば強引に手を引かれ防衛部とやらの部室へむかい。
「…先輩ズ!お客さんっすよ!」
──この出来事がこれからの学校生活を平穏ではないものにしてしまうとは、この時は思いもよらなかった。