第9章 少年は剣を取る(DMC4本編直前まで)
「……」
ティーカップを持つ手に、微塵の乱れもない。
まるで雑音すら彼には届いていないかのように、冷静に紅茶を口に運ぶ。
「ねぇバージル、ちょっとは興味持ったら?」
ビアンカが呆れたように言うが、バージルは視線すら動かさずに答えた。
「……必要ない」
「はぁ、相変わらずねぇ……」
ビアンカはため息をつきながらも、再び楽しそうに遊ぶ子供たちを眺めた。
ネロには、こうして遊ぶ友達がいる。
たった数年前まで一人だったバージルが、今では家族と、賑やかな日常を持っている。
そのことが、ただただ嬉しくて、愛しくて。
──彼らの未来が、これからもこんなふうに続いていくことを願わずにはいられなかった。