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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第5章 ふとした日常


 朝の光が窓から差し込み、ビアンカは眠たげに目をこすりながらキッチンへ向かった。

 ふわぁ、と欠伸をしながら流しへ向かい──そして、目を見開く。

 「……あれ?」

 昨夜、バージルのために用意しておいた食事の皿が、すべて綺麗に洗われ、伏せられていた。

 確かに彼が帰る前に寝てしまったのだから、後片付けはできていないはずだ。

 「……まさかね」

 つい独り言が漏れる。

 あの男が? わざわざ? こんなことを?

 「いやいや、ないないない……」

 首を振る。自分で自分を納得させるように。

 しかし、どれだけ考えても他に片付けた人物はいない。

 バージルが、食器を洗った? 本当に?

 ──いや、もしかしたらただの気まぐれかもしれない。

 だが、それでも。

 「……ふふ」

 ビアンカは思わず口元を緩めた。

 「素直じゃないんだから」

 わずかに弾んだ声を落としながら、そっと伏せられた皿の一枚を撫でた。

 彼が何を考えているのかなんて、いまだによくわからない。

 でも、確かに彼の痕跡がここにある。

 ──知らぬ間に、この家に足跡を残し始めていることに、バージル自身は気づいているのだろうか?
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