第17章 第2章プロローグ
ビアンカは一瞬驚いたが、すぐに吹き出し、愉快そうに笑った。
「へぇ、それはまた大胆な発言だね」
自身の発言がどれほどの影響を及ぼすかも知らず、ヴィオラは無邪気に足をぶらつかせながら続ける。
「だっておじちゃま、いつも遊んでくれるし、ヴィオラをいっぱい可愛がってくれるんだもん!」
その瞬間、結界の外では確かに何かが弾ける音がした。
遠方で戦闘を繰り広げていたバージルのこめかみに、明確な怒気を孕んだ青筋が浮かぶ。
対するダンテは、まるで神の啓示を受けたかのように顔を輝かせ、両腕を広げながら言った。
「だってよ、バージルお義父様♡」
バージルの握る閻魔刀が、まるで意思を持つかのように鈍い音を響かせる。
「黙れ、ダンテ。貴様はここで葬る」
「手伝うぜクソ親父!」
「お前ら、こういう時だけ異様に息が合うの何なんだよ!?」
「うるさい」
宣戦布告の言葉もそこそこに、バージルとネロは瞬時に間合いを詰めた。
バージルの刀閃が白銀の光を描き、ネロの拳が大気を震わせる。一方、ダンテは苦笑混じりにリベリオンを肩に担ぎ、余裕の笑みを浮かべながら言い放つ。
「おいおい、待て待て! まずはヴィオラの気持ちを尊重して──」
言い終わるより早く、次元斬が炸裂する。
「話を聞く気ゼロかよ!? 本当にお前ら相変わらずだな!」
豪快に飛び退きながら、ダンテは跳躍。着地すると同時に双剣を逆手に構え、迎え撃つ。
その光景を結界内から見守っていたヴィオラは、輝くような瞳で「おじちゃま、すごいねぇ!」と感嘆の声を上げる。
「……ねぇ、ママ?」
「ん?」
振り返るヴィオラに、ビアンカは微笑みながら応じる。
「パパとお兄ちゃんとおじちゃまって、いつもこうなの?」
「んー……まあ、そうだね。気が合うんだか合わないんだか、いまいちよく分からない関係だよね」
「男の人って、変なの!」
幼い娘の率直な感想に、ヴィオラはさらに可笑しそうに肩をすくめた。
結界の外では依然として轟音が響き渡る。
今日もフォルトゥナは、実に平和だった。