第17章 第2章プロローグ
「ダンテおじちゃま!」
今日も元気いっぱいのヴィオラの声が家中に響く。
玄関を開けたダンテは、待ち構えていたかのように駆け寄ってくるヴィオラを軽々と抱き上げ、満面の笑みを浮かべた。
「お、今日も可愛いな~ヴィオラ!」
「えへへ! ダンテおじちゃま、遊んでくれる?」
「もちろん! 今日は何して遊ぶ?」
「えっとねぇ……」
ヴィオラが楽しげに考え込む間、ダンテは腕の中の彼女をあやすように軽く揺らしながら、顔をゆるませ続ける。
「おい」
低く鋭い声が飛ぶ。
「……何だよ、バージル」
「貴様が来るたび、ヴィオラが貴様ばかりを追うのが気に入らん」
「いやいや、俺のせいじゃねぇだろ?」
「気に入らない」
「理不尽だな!? それに、ヴィオラが懐いてくれるの、普通に嬉しくね?」
「気に入らない」
「なんだよその一点張り!?」
「俺も気に入らねぇ」
不機嫌そうなネロの声が割り込んだ。
「ヴィオラは俺の妹だぞ。なのに、なんでダンテばっかりに懐いてんだ?」
「ネロおにーちゃんも好きだよ?」
ヴィオラはにこにこと言うが、それでもダンテの腕から降りる気配はない。
「ほらな! なんか俺の扱い軽くないか? そもそも俺の方が一緒にいる時間長いだろ!」
「うーん……でもね、ダンテおじちゃま、遊ぶのすっごく上手なんだもん!」
「ほら見ろ! 俺はただ遊ぶのが上手いだけだ!」
ダンテは自慢げに胸を張るが、バージルもネロも納得していない顔をしている。
「ヴィオラ」
バージルが淡々と呼びかける。
「貴様は俺の娘だ。よって、俺を一番に慕うべきだ」
「えぇー?」
ヴィオラは不満げに頬をふくらませた。
「パパは遊んでくれないもん」
「……」