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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第10章 神と、仔等(DMC4原作沿い)


 まぶたの裏に、微かな光が差し込んだ。

 意識が、徐々に浮上していく。

 ――熱い。

 それが、最初に感じたことだった。

 全身を巡る魔力の流れが、まるで自分のものではないような感覚。

 呼吸をするたびに、何かが違うと気づく。

 ゆっくりと目を開くと、見慣れた天井があった。

 「……ここは……」

 自宅だった。

 懐かしい、木の香り。

 穏やかな陽の光が、窓の隙間から差し込んでいる。

 だが、それ以上に――。

 「……何……?」

 強力な魔力が、家全体を包み込んでいた。

 目には見えない結界が、空間を満たし、

 悪魔の気配を弾いているのがわかる。

 これほどの魔力を展開できる者はバージルしかいない。

 「……」

 彼は、ここにいたのだ。

 しかし、今はもういない。

 ベッドからゆっくりと身体を起こし、辺りを見回す。

 何も変わっていない。

 この家は、今まで通りのままだ。

 それなのにすべてが違って見えた。

 彼と、契約で繋がってしまった。

 その事実が、ビアンカの背筋を冷たく撫でる。

 (……これからどうなるのだろう)

 わからない。

 バージルの半分は人間、半分は悪魔。

 その彼と、魔女の契約を結んだ。

 魔女は、死ねば魂をその悪魔に捧げる。

 だが、バージルは?

 私の魂は、どこへ行く?

 契約の影響は、どこまで広がる?

 考えれば考えるほど、不安になる。

 そして、何より、彼は、ひとりで行ってしまった。

 この結界は、おそらくビアンカを守るためのものだろう。

 つまり、彼は自分に追わせる気がない。

 (……でも、そんなの)

 そんなの、納得できるわけがない。

 しかし今の彼女には、それを追う力がどう考えてもない。

 身体の奥が空っぽになったような感覚。

 魔力を使いすぎた。

 寿命を削った代償は、想像以上に重い。

 指先を動かすだけで、異様な疲労が押し寄せてくる。

 (今は……)

 ビアンカは、深く息をつく。

 少しでも、体力を回復する。

 いざという時に、全力を出すために。

 今は、眠るしかない。

 ゆっくりと、布団に横になる。

 バージルが張った結界の魔力を感じながら、

 ビアンカは静かに目を閉じた。
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