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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第9章 少年は剣を取る(DMC4本編直前まで)


 次の瞬間、バージルの魔力が病室を満たした。
 空気が軋む。
 青白い魔力がゆらりと螺旋を描きながら、彼の周囲を巡る。

「それは、スパーダの血だ」

 バージルがそう呟くと同時に、彼の背後に 幻影剣が複数展開される。
 蒼き魔剣が、淡く鈍い光を帯びて宙に浮かぶ。
 ネロは 息を呑んだ。

 「……!」

 魔力が波打ち、空間が微かに歪む。
 バージルは 静かにネロを見下ろした。

 「俺はフォルトゥナが神とあがめる魔剣士スパーダの息子だ」
 「……待て待て待て、つまり……」
 「つーことは、俺、魔剣士スパーダの"孫" ってことか?」
 「そういうことになるな」
 「はああああ!?!?」

 病室に ネロの絶叫が響き渡る。

 「なんで今さら言うんだよ!!」
 「今、必要になったからだ」
 「いやいやいや、もっと早く言うべきだろ!?!?」
 「貴様が成長するまでは、不要だった」
 「いや、いるだろこの情報!! 俺が悪魔の血を引いてるなら、もっと早く知っとくべきだろ!!」
 「……」

 ネロは 動揺を隠せないまま、しばらく黙り込む。
 だが、ゆっくりと 右腕を握りしめた。

 「……"血" のせいで、こうなったってことか?」
 「その認識は正しくない」

 バージルは 静かに首を振る。

 「"血" ではなく、"力" だ」
 「貴様の力が、貴様自身を変えた」
 「悪魔として覚醒したのではない。生き延びるために"変わった" のだ」
 「……」

 ネロは 言葉を失った。
 "力が、俺を変えた"
 それが事実なら——
 オレは、この腕をどうすればいい?
 ネロは 拳を握り直し、小さく呟く。

 「……俺の親父がスパーダの息子で……俺が孫で……」
 「つーか、俺の親父が"バージル" っていうのが……」
 「……一番理解できねぇ」
 「フン」

 バージルは 薄く目を細めた。

 「理解する必要はない」
 「受け入れろ、ネロ」
 「……っ」
 「貴様は"そういう存在" だ」

 ——そう言い放つバージルの声は、ただただ冷静だった。
 だが、それは 決して否定ではなく、肯定だった。
 ネロは 苦笑しながら、ぼそっと呟いた。

 「……やっぱクソ親父だわ」
 「何か言ったか?」
 「何でもねぇよ」

 そう言いながらも、どこか 吹っ切れたような笑み を浮かべる。
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