第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
「え?なになに~?
パワー勝負やめるってことか?」
私の反対側…
キャプテンを挟んで私の視界に割り込んできた紗恵が、キャプテンを見下ろしてそう尋ねていた。
「お前の大好きなエース様が、
“力で押し切るより
テクニック勝負に切り替えたい”んだとよ」
「だよね~さっすがウチ!
天のことよく分かってる~♡」
『ってことはお前は賛成でいいな』
そう言って、それまでドリブルで繋いでいたボールを、バウンズで紗恵に出した。
紗恵それを「エースに合わせるのがウチの仕事よ」と言いながら受け取り、私を真似るようにドリブルを始めていた。
しかし…
「えぇ~やめようよ~?下手したらもう1回
ゴール決められちゃうかもしれないじゃ~ん」
詩織は、キャプテンと同様に不満みたいだ。