第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
その様な感じで、三段活用のように“奪う”を脳内変換していた。
その時、
「お前まさか…アレやる気じゃねぇーよな?」
と、横で未だにドリブルを続けているキャプテンが、私の心中を探るような言い方でそう聞いてきた。
私を見上げてきたその視線に合わせるように、視線を下げて。
私も同じような口調で言い返してみた。
『“やる気しかねぇ”つったら…
どうするつもりだったんだよ?』
「お前今日どんだけ博打作戦やりゃ
気が済むんだよ…」
多少嫌味っぽく聞こえてしまった私の言葉で。
キャプテンは、苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべながら、私にバウンズパスを出した。
床で跳ね返ったボールを受け止め、私はそのままの流れでドリブルをスタートした。
一方、キャプテンはというと、目の前の鉄壁ともいえる厚いディフェンスを再び見つめていた。
普段から、確実に点を稼ぐことのできる作戦を好むこいつにとって。
確かにこういう作戦は、思うことがあるんだろうな。
「確かにこの状態で中に飛び込んでもな…
かといって、外から狙っても
結果取られるのがオチではあるけど…」
『んじゃ頼むよ。シナリオ通りに動くのは
お前の十八番だろ?』
「シナリオは外部的な力が加わった時に
結果こっちが不利になる、って
お前言ってなかったっけ?」
私が提示した作戦に、どうしても煮え切らない様子のキャプテン。
すると…