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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●?? ??● 〜???〜


分かる。よく分かる。


恵まれていないと感じるのは、単に今の場所に満足していないからだろう。
それでも尚、前進より安寧を求めるのは。


歩んだその先に、いい場所が待っているとは限らないから。
はるか彼方の、まだ見ぬ桃源郷という不確かな存在を、夢を見ていた方がよっぽど幸福なんだろう。


今日も妄想の中で足踏みをして一日が終わる。


それか、もしくは…


夢を見ることすら、放棄してしまっただけなのか。


そんなことは知ったこっちゃないのだが。
どちらにせよ、脚は動かさないとな。
生きている以上。


「場所という概念は、不確かだ。」


どこかの誰かがそう言った。


いつ。どこで。
どんな意図で、そう言ったのかは定かではない。


分かっているのは、それが過去のどこかで。
見知らぬ誰かの物語に刻まれた、ということ。


それだけだ。


進化の歩みを止めたまま、コンクリートの上を。
人生を歩むと言う矛盾に知らん顔をして、誰もが自分の居場所を確保するのに必死なこの街で。


当たり前のように居場所を与えられた者たちで。
東京体育館は、再び賑わいを見せていた。

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