• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第5章 栄光の目前  〜決勝トーナメント準決勝〜


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


第4クォーター、残り5分14秒で試合再開。


相手チームからスタートしたボールは、数回の攻守変動を経て。
結果、私たちのディフェンスを搔い潜り、相手チームの得点へと変わった。


今度は私たちが攻める番だ。
時間も多くは残されていない。
すぐにでも奪われた点を取り戻したかった。


自陣ゴール下からリスタートした時。
相手選手は、既に全員フロントコート側に移動していた。


「ん?」

「なんだ?これ…」


私と一緒に移動を始めた他のメンバーも。
相手チームの様子に、少し違和感を感じたようだ。


さっきと全く違うんだ。


相手チームの守備が…なんと言うか…


「中固めてきたな」


私の隣でボールを運んでいるキャプテンが、そう小さく呟いていた。


あぁ、なるほど…
どおりでディフェンスに来ないと思ったら。
“ゾーンディフェンス”ってことか。


つまり、タイムアウト直前みたいに1on1…
所謂、自分がマークする相手をあらかじめ決めている“マンツーマンディフェンス”みたいな守り方ではなく。
自分の守る“エリア”を決めてきた、というわけか。


パッと見…これは“2-3(ツースリー)”だろうか?
スリーポイントラインより外に2人。中に3人。


私はこの時理解したんだ。
それを見て気づいた。


詩織と私…つまり、CとPFのインサイド2人を警戒して、対戦校はこの形を選んだのだということを。
私たち2人の能力が爆上がりするエリアが、見事に抑えられてしまった。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp