第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
?「マークで視界遮ってたのに…
なんでさっきパス通った??」
?「あの位置からなら
仲間が見えるはずなかったのに!」
という、相手チームの会話が。
“さっき”…っていうのは。
私がドライブで抜く前のことだろうか?
ディフェンスでガッチリ守られていた時の…
あぁ、見えてなかったさ。
悔しいけど、ディフェンスは完璧だったからな。
お陰様で、普段なら見えるはずのものまで見えなかった。
「仲間が見えないのにパスが通った」。
強豪校様にまで気になってもらえるなんて、ありがたいな。
けれど、そこまで複雑な話ではない。
その問題の答え合わせをするとしたら…
「“そこにいて欲しい”と思ったから」。
…って、ただそれだけだ。
ここで、対戦校がタイムアウトを取り。
私たち5人は、一旦ベンチへと引き返すことになった。
第4クォーター、残り5分14秒。