第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 ??● 〜東京体育館〜
これで汗は、私からタオルに移った…ってことになるんだよな?
この時タオルが吸い取った汗の総量は、今が後半であることを物語っているようだった。
それまでの蓄積をタオルに任せたことで、だいぶ軽くなったヘッドバンドに首を通した。
何があっても、このヘッドバンドは外せない。
ないと困るんだ。
私の視界を、髪と汗から守っているのはコレだから。
髪は別問題として、仮にコレがなかったら、汗の妨害で私のプレイは悲惨なものになるだろう。
傍から見たら…他の人間から見たら、今の私はどんな見て呉れをしてるだろう?
お世辞にも、綺麗とは言えないんだろうな。
試合中の選手に、そんなことを求めても仕方がない。
そんなことを考えている間に、ほら。
マネージャー伝に、私からスポドリを奪った監督が話し始めたぞ。
話すより前にな?
一旦、私が生成した汗の量。
見てくれたっていいんだぜ?
タオル(ここ)に全部収まってるからよ。
取り敢えずこれ見てから判断してくんない?