第3章 表があれば裏がある
●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜
「万一僕が試合に出られなくなったら
どうするんだよ!
それでも良いって言うの?!」
「「 それはダメだ!/っス! 」」
ビックリした。まさかの選手だった。
マネージャーじゃなかったのか。
いかんいかん、男バス所属ってだけで偏見からマネージャーと決めつけてしまった。
気を付けないとな。
男女分けは、所詮男女分けだ。
女の子が男バスでプレーしてもいいじゃないか。
“男バス”と書いて「男女関係なくバスケをプレーしよう!」って読むのかもしれないし。
私が女バスの選手としてプレーするのと、何も変わらない。
ここまで来ると、私が何でもかんでも受け入れる人間だと思われるかもしれないが。
私は私でなんとか都会の常識についていこうと頑張ったんだ。
白銀の少女を参考にすれば、少しは田舎っ子から脱せると思ったから。
だって周り、全国出場が当然のタメばっか。
けど感動するシーンもあった。
「お前はそんな柔じゃねぇだろ?
お前のことはオレらが1番知ってる!」
「そうっスよ!絶対優勝できるっスよ!
なんてったって、オレたちなんスから!」
「お前がいれば、百人力だからな。
だが、オレも負けない。」
「君のおかげでここまで来れた。
信じてるよ僕たち全員。
だから…一緒に頑張ろう。」
いいな~私も仲間にそんなこと言われてみたい。
そんなことを思いながら、チームメイトの存在を背中で感じてみたけど。
「いや、あいつらそんなくさいセリフ言えるような人間じゃなかった…」。
そう思って、ため息をつく代わりに。
口に咥えた容器から、大して美味くないゼリーを一気に吸い上げた。