• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜


「万一僕が試合に出られなくなったら
 どうするんだよ!
 それでも良いって言うの?!」

「「 それはダメだ!/っス! 」」


ビックリした。まさかの選手だった。
マネージャーじゃなかったのか。


いかんいかん、男バス所属ってだけで偏見からマネージャーと決めつけてしまった。
気を付けないとな。


男女分けは、所詮男女分けだ。
女の子が男バスでプレーしてもいいじゃないか。
“男バス”と書いて「男女関係なくバスケをプレーしよう!」って読むのかもしれないし。
私が女バスの選手としてプレーするのと、何も変わらない。


ここまで来ると、私が何でもかんでも受け入れる人間だと思われるかもしれないが。
私は私でなんとか都会の常識についていこうと頑張ったんだ。
白銀の少女を参考にすれば、少しは田舎っ子から脱せると思ったから。


だって周り、全国出場が当然のタメばっか。


けど感動するシーンもあった。


「お前はそんな柔じゃねぇだろ?
 お前のことはオレらが1番知ってる!」

「そうっスよ!絶対優勝できるっスよ!
 なんてったって、オレたちなんスから!」

「お前がいれば、百人力だからな。
 だが、オレも負けない。」

「君のおかげでここまで来れた。
 信じてるよ僕たち全員。
 だから…一緒に頑張ろう。」


いいな~私も仲間にそんなこと言われてみたい。
そんなことを思いながら、チームメイトの存在を背中で感じてみたけど。


「いや、あいつらそんなくさいセリフ言えるような人間じゃなかった…」。
そう思って、ため息をつく代わりに。
口に咥えた容器から、大して美味くないゼリーを一気に吸い上げた。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp