第3章 表があれば裏がある
●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜
自分のチームメイトのことは置いておいて、私は白銀の少女に向けられた言葉たちに感動を覚えた。
「うん!僕頑張るよ!みんなのために…」
それは確かなんだけど…
「頑張ろうね(((ニコッ」
「「 (かわいすぎるだろっ.../////) 」」
「ん?みんなどうしたの?(((((キョトン」
しまった。
思い出しちまった。
ホテルに戻るまで忘れてようと思ったのに。
“なんちゃってテレパシー”が再発した。
むしろこれは、異能力確定でもいいのではないだろうか?
あと、これまで見えないふりしてスルーしてたけど。
さっきから多用されている“スラッシュ”はなんなんだ。
語尾か?
語尾なのか?
それか“なんちゃってテレパシー”の副作用かなんかなのか?
「…え?ふ、ふぇぇ〜?!Σ(・□・;)
みんな、急に風邪ひいちゃったの?
どうしよう…これから大会なのに〜!!」
「「 (お前のせいだ.../////) 」」
休まる暇もなく、今度は“ふぇ”再来。
だから、“ふぇ”とはなんだ?
そろそろ誰か説明してくれ。
ん?誰も?
誰も疑問に思っていない?
ロビーにいる誰も、“ふぇ”に違和感を抱いていない?
私以外は…
『はっ…!!』
そうか!分かったぞ!
いわゆる“流行語”ってやつなのか?!!
その年に流行った言葉ということなら、タイムリーに多用しても変じゃないし、疑問に思われることもない。
なるほどそういうことだったのか。
「ふぇぇ…困ったよぉ…」(´;ω;`)
会話に顔文字が出てきたりもしたが、ここまで来るともう驚かない。
なんて言ったって、最難関“ふぇ”の正体に気づいたのだから。
顔文字の方は、「彼女はいまそういう表情してるんだな〜」程度に思って流そう。
ちょっとの時間で、東京の流行をノンストップで見れた気がした。
さすがに全部は無理だった。
すべてに追いつくことはできない。
結果出てきた言葉が。
『東京の人間は凄ぇなぁ。』
小さく口にしたその言葉は、たまたま目にした手に余る状況を、自分の中で無理に消化した末路だ。
事実、頭の中には。
流行語大賞、“ふぇ?”しか残ってなかった。