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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜


「まぁ、君が少し遅れてくることは
 計算のうちに入っていたよ。」

「さっすがキャプテン!
 僕のことよく分かってるね〜」(o^^o)

「それほどでもないよ。
 (君のことなら
  なんでも知ってて当然だよ)」


ほら!
やっぱりそうだよ!


聞き間違えなんかじゃなかった。
口を開いてないのに、あの男の子の考えていることが聞こえた。
まさか私、特別な力に目覚めた?
チャクラ?第三の目??


「ふ…ふぇえ〜?!!
 な、何してるのよぉ〜?!」


え?


『ふ…ふえ?あ、笛??』


これまでの会話の流れで、“笛”が出てくる兆しはあっただろうか?
“ミュータント的異能力発覚問題”は未解決のまま、“笛”に反応して再び視線を少女に向けた。


「こうしていれば、
 勝手にいなくなったりしないだろ。」

「ば、ばかぁ〜!!降ろせぇ〜!!」

「降ろさない。オレに持たれていた方が
 幾分か合理的だ。」


それからしばらくは、チームメイト間の白銀の少女の奪い合いを見ることになった。


「2人ともズルいんスよ!
 さっきいっぱい
 抱きしめてたじゃないっスか〜」

「ふぇ?!だ、抱き…?//////
 そ、そんなんじゃないよ!/////」


そう、あれだよ。
私が気になるのは。


私が“笛”だと思って聞いていたそれは、どうやら“笛”ではないようだ。
心なしか、“え”が“ぇ”に聞こえた。


じゃあ“ふぇ”か。
いや、“ふぇ”ってなんだ…


取り合えず、さっき体験した“なんちゃってテレパシー”は、昨日寝る前にホテルで“●-MEN”を観たせいにすることにした。
東テレが観れるからって浮かれてしまった。


『ウルビー…この件はホテルに
 戻ったら詳しく聞かせてもらおう…』


だから…


「そんな可愛い顔されたら…
 オレ我慢できなくなっちゃうっスよ。」

「なに言ってるのよ。
 トイレは我慢しないですぐに行きなさいって
 いつも言ってるでしょ?」

「(報われないっス...!!)」(涙)

「「 (不憫...) 」」


見てない。
見えない。


私は何も、聞いていない。

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