第3章 表があれば裏がある
●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜
女の子だからって、いつの間にか決めつけてしまっていた。
偏見はダメだよな?
一人称は、所詮一人称だ。
女の子が自分を“僕”と称してもいいじゃないか。
“僕”と書いて「やつがれ」って読むのかもしれないし。
私が自分を“私”と言うのと、何も変わらない。
この世には“おら”とか”わい”とか“自分”とか。
自分の呼び方なんていくらでも存在する。
多種多様で行こうぜ!!
よし、気を取り直そう。
「僕が周りの人に道を聞いても、
みんな急に顔を赤くして
逃げちゃうんだもん!」
「「 (それはお前が可愛いからだ...) 」」
「もぉ〜なんで毎回こうなんだろう?
顔が怖かったのかな…?」(´;ω;`)
「「 (鈍感...) 」」
“僕”は気にしない。
よし、もう気にならないぞ。
『あぁ~確かに。
あんな可愛い子に話しかけられたら、
私でもビビって逃げちまうよ。』
ゼリー飲料を口に咥えたまま、少女を取り囲む男の子たちに賛同するように呟いた。
『君の顔が怖いわけじゃないから大丈…』
でもダメだ。
もっと気になることがある。
『ん…?んん??』
自分の耳がおかしいのか、と疑ってしまった。
いま男子たちの脳内が再生された気がした。