第3章 表があれば裏がある
●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜
「すみません!通ります!」
そう言って目の前を、美しい少女が横切っていった。
その時まで私の頭の中は、
「ホテルの朝食足りなかったなー」とか。
「一番近いコンビニでもここから往復20分くらいするんだったなー」とか。
「てめぇが真っ先に寝るなんておめでたいな。これで自力で起きなかった時はお前の大事なBe●tsのヘッドフォン逆パカすんぞ」とか。
「ゼリーで冒険しないで普通の味にしとけばよかった」とか。
「ジンジンジンジンギスカン♪」とか。
そんなのばっかだったのに。
そんな煩悩が一気に飛んでいくほど、少女は美しかった。
女の私から見ても、それは確かな事実だった。
目の前に天使が現れたら、正体が気にならないほうがおかしいだろ。
だから一部始終を見させてもらった。
謎多き白銀の少女は何者なのかを突き止めるために。
「ったく!お前は勝手にウロチョロするくせに、
案の定迷って毎回トラブルを
持ってくるんじゃねぇか!
危なっかしいったらねぇよ!!」
おいおい。
いくらチームメイトでも、相手は小柄な女の子だぞ。
そんなデカい声で責めたら泣いちまうだろ。
そう思っていたのだけれど…
「僕だって色々頑張ったんだよ?!
みんなのところに戻るために
必死だったんだから!」
凄ぇ。
同等…それ以上の力量で言い返した。
感心したのは事実だけれど。
私はまったく別のところに反応してしまった。
『ぼ…僕…??』