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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜


東京に来たのは初めてではない。
だからって、「まったく浮かれていないのか」と聞かれたら、そんなこともないわけで。


むしろ、人が集まってくるのに比例して、私の好奇心は鰻登りだった。
カルチャーショックかなんか知らないけど、大会会場では度肝を抜かれることばかりだ。


なんて言ったって、大都会東京だから。
五感で得られる情報量が尋常じゃない。
人が増えるたびに、自分の世界の色彩が増えていくことが分かった。


ここに集まる少年少女は同じ中学生のはずなのに、あまりにも眩しすぎる。
何というか…“こなれ感”?
“自分東京慣れてますよ〜”感があるように見えたんだ。


それをキャプテンに伝えたら、「それ、こなれ感じゃなくて、全国出場が当たり前の強豪ばっかだからこなれてるように見えるだけだろ」と言われてしまった。


その一言で、「この大会、決勝トーナメントだった」と再確認したのと同時に、「それ普通の“慣れ”じゃね?」と勝手に納得した上、「どのみちここにいるタメたち凄ぇ」と言うただの感想が一気に押し寄せた。


キャプテンからの回答で満足した私は、地面に置いたバッグを開けるために、一旦席を立った。

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