• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●藤堂 天 ● 〜東京体育館〜


初めは、大会の出場校として他の学校となんら変わりなく、開会式までの時間を待っていただけだった。


今でこそ、会場の1階は人がひしめいているが、最初からこうだったわけじゃない。


というのも、他の学校より一足早く到着した私たちが会場の扉を潜った時、その空間にはまだ結構空きがあった。
それを見てるから言えるけど、この大会会場、かなり大きい。


選び放題だった空白の中から、私たちはロビーの1番端のベンチを確保した。
「どこ座る〜?」とか。
「じゃああそこ座ろ〜」とはならなかった。
満場一致を確認するより先に、全員がそこに向かって歩き始めていたから。


しばらくそこで待機することになった私たちは、ベンチを拠点として思い思いに行動した。


呑気にケータイゲームをプレイするチームメイトと、我が物顔でそいつの肩を借りてうつらうつらしてる別のチームメイトを横目に、去年のことを思い出したりもした。


その際、そのうつらうつらしてる奴を見て、ちょっとばかり殺意が湧いたことに関しては、ちゃんと理由があるから問題はない。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp