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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


『“はにゃ?!”って
 こう言う場面で使うのが正しいのか?!』


私が口にした、この“はにゃ?!”。


これは覚えたての言葉だ。


あれは、2日前…か?
開会式があって…んでそのあと予選リーグをやった日だ。確か。


全国初出場を経験し、初めて訪れた東京体育館で目の当たりにした言葉。
私が思考に思考を重ねた結果、どうもこれが“流行語”らしいんだ。


その言葉との…少女との出会いは、突然だった。


* * *


話は2日前まで遡る。


初めは、大会の出場校として他の学校となんら変わりなく、開会式までの時間を待っていただけだった。


ところが、


?「はにゃ?!」

『ん?』


会場のロビーに、高くて女の子らしい声が響いたのを。
その場にいた私が、気づかないわけがなかった。


その声を辿り、声の元を探ると…


?「はにゃ~?
  みんなどうしちゃったのかな?(((((キョトン」


と言いながら、クリクリっとした大きくて美しい瞳を、ウルウルと煌めかせた美しい少女が、そこにはいたのだ。


もちろん目を奪われた。
なんならすぐに目で追いかけた。


そして、そんな風に目を奪われているのは私だけではなく…


?「まじであの笑顔…ヤバいわ」

?「あぁ…気をつけないと
  心全部持ってかれそうだ…」

?「俺はもう持っていかれたかも…」


一度、自分の周囲を見回してみれば、私と同様にその少女に視線を奪われている選手たちが沢山いたんだ。


しかし、私は…


「は…はにゃ~?!Σ(・ω・ノ)ノ!
 みんな、急にどうしちゃったのぉ~?
 なんでお顔が真っ赤なのぉ〜?!」


この、“はにゃ?”という言葉が謎過ぎて。
それ以外の情報は、何も頭に入ってこなかったんだ…


会話の流れからして、どうやら「驚いたときに出る感嘆詞のようなもの」というところまでは導き出せたのだが。
新しい言葉の発見に、私は驚きと好奇心を抑えられずにいた。


結果、「その年に流行った言葉ということなら、タイムリーに多用しても変じゃない」という持論に行きつき、いわゆる”流行語”ってやつなのだと結論づけることが出来たのだ。


そして…


最終的に出てきた言葉が。


『東京の人間は凄ぇなぁ。』


だった。


* * *

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