• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


いつもであれば、ボイコットの1つや2つ決め込んで真反対に歩き出してやるところなのに。
決勝を間近に控えた私の頭は驚くほど冷静で、今はただ淡々と、他の4人の背中を追うことだけを考えていたんだ。


だから、塩を塗られ続けるなり、抉られるなりを覚悟して。
後に続こうと、視線は地面に向いたまま、一歩前に踏み出した、


『ん…?』


…その時だった。


私の頭は、たった一つの文字に支配されることになったのだ。
それは、


『“ビックリ”…?』


チームメイトたちが、意識してか無意識にか口にしている言葉だった。


なんの特別感もないはずのその言葉に、何か突っかかりを感じた私は、遠いような近いような記憶の中を辿り。
なぜここまで、この言葉が気になるのか…


その答えを探し始めたんだ。

        ・・・・
そして、以外にも近かったその答えにたどり着いた瞬間、


『は…?!』


私は素早く息を飲んだ。


そして、私の前を行く4人の背中に向かって、この大発見を口に出したんだ。


今はただ、出来るだけ大きな声で…


『“はにゃ?!”って
 こう言う場面で使うのが正しいのか?!』


と、私に向けたその後ろ姿に向かって、声を張ったんだ。


なのに…


「「 だからそれ流行ってねぇーって!! 」」

『え』

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp