第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
あくまでも真面目な表情のブルージュの選手と、困惑顔の4人の少女。
その間には、なんとも言えない空気が漂っていた。
もう分かっていると思うが。
早い話、彼女たちとブルージュの選手は関係者だ。
同じジャージに身を包むところ、疑う余地がない。
逆に、ブルージュの選手がずっと熱い視線を送っていた白銀の少女は、大会会場にたまたま居た赤の他人。
ブルージュの選手とも、4人の少女とも、無関係だ。
では、ブルージュの選手と4人の少女は、どういう関係なのか。
そもそもブルージュの選手は、何者なのか?
黒髪と切長の目。
サッパリとしたショートカットの頭髪。
落ち着きのある口調と無駄のない仕草。
しかし、振り返ったその顔立ちは…
それと、これは関係があるか分からないが。
よくよく考えると、ブルージュの選手が立つその場所は、男子選手がひしめく位置から少し離れている。
そしてすぐ側には、同じ装いの少女が4人。
このことから、なにが言えるのか。
パッと見ただけの他人からは、少年に見えるであろうブルージュの選手は。
選手は選手でも、男バスの選手ではない。
女バスの選手だ。
あと、この際ハッキリさせてしまおうか。
残念ながら、白銀の少女の登場がこの先あると期待しない方がいい。
白銀の少女にはこのまま、あのチームで青春を歩んでもらうことにしよう。
文句は受け付けるが仕方がない。
あれほどの美少女だ。
そうでもしないと、ブルージュの選手の存在が薄れてしまう。
そうなっては、本末転倒だ。
なぜって。
こっちが“私”。
美しい白銀の少女に目を奪われた、傍観者の1人。
ブルージュの選手が。
“私”だ。