• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●?? ??● 〜東京体育館〜


他人には聞き取れないほどの小さい声で、言葉を溢したブルージュの選手は、次の瞬間。
それまでずっと離さずにいた白銀の少女への視線を、ついに断ち切った。


ブルージュの選手は踵を返して、白銀の少女がいる方向と逆。
つまりは自分の真後ろに振り返り、口を開いた。


?「なぁお前ら。知ってたか?」


振り返ったその視線の先には。


ブルージュの選手が纏うそれと、全く同じジャージを着た少女が4人。


ブルージュの選手の声に釣られる様に、少女たちは各々の動きを止めて視線を向けた。


「「 ん? 」」


4人の視線を集めたブルージュの選手は、自信たっぷりにこう告げた。


?「どうやら東京では、
  “ふぇふぇ”が流行ってるらしい。」

「「 は? 」」


思わず反応する、4人の少女。


大会パンフを広げる、ペールブルーの少女。
ベンチに座ってストローを咥える、オレンジの少女。
その横でケータイを握る、ピンクベージュの少女。
髪の毛先を気にする、オリーブの少女。


目の前に立つブルージュの選手が、前触れもなく放った言葉に対して、一斉に疑問符を投げ返した。
そこには、困惑の表情を浮かべている顔が、やはり4つ。


スポットライトに照らされた表舞台の漏れ日を背中で受けるブルージュの選手と、頭上に影が落ちた4人の少女。
5人の周囲にだけ。


違う時間が流れ出した。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp