第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
誰が、なんで笑っているかは分かっているし。
笑われているのは自分で、そして自分が今どれだけ恥ずかしい思いをしているのかも分かっていた。
けれどそれと同時に、もう一つ確かなことがあった。
それは、私を見つめるこの人たちは、別に馬鹿にしたくて笑っているわけでは決してない、ということだ。
その証拠に、
?「そうだよね!お腹空くよね試合の後は!」
?「いっぱい食べなねエース様!」
?「んで午後からの決勝も勝っちゃってよ!」
と、口々に私に声をかけてくれているんだから。
私としては、これ以上に助かる対応はない。
お陰で、多少は救われた気持ちになった。
だから、
?「じゃ!がんばってね!
小さな挑戦者さんたち!」
と、そう言い残して、私たちに背を向けて去っていく過去の対戦校の面々を。
私は、胸を撫で下ろすような気持で見送れたんだ。
後に残ったのは、
「『 はぁ〜〜〜… 』」
という、チームメイトたちの、これでもかと深い溜息だけだった。
それは、“安堵の溜息”だったのか。
はたまた、“呆れ”から生じたものだったのか。
それは、個人によって違うのだろう。