第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
男女に関係なく、ロビーにいる誰しもが。
その子猫のような愛おしさを放つ少女に、心を奪われるのに時間はかからなかった。
「なぁ…あの子可愛くねぇ?」
「だよな!天使かと思ったぜ!」
「いいな〜
アイツらすげぇー羨ましい!!」
「あの子のために、オレは勝つ…!」
「優勝カップの代わりにあの子が欲しい!!」
「お前!ちょっと名前聞いてこい…!」
そんな言葉ばかりが、ロビー中を埋め尽くしていた。
白銀の少女は、この大会でどのような活躍を見せてくれるのか。
それは、現状もそうであるように。
誰もが注目する試合になるのだろう。
なぜって。
目を逸らしたくないほどに、輝かしいのだから。
その笑顔が。
その仕草が。
歩んでいる青春が。
確かにそれは、誰にでも歩める青春ではないのかもしれない。
周囲の選手たちは羨ましいと思いながらも、その輪の中には介入できない存在であることを理解して、その物語を眺めた。
今ここから、白銀の少女の物語が始まる。
そして、またひとつ。
白銀の少女の物語を、その他大勢と同じように。
遠目から傍観する影がいた。