第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
「お前ら止まれ!!」
愛華の声が聞こえた直後、
「「 うっわ?! 」」
私の方に顔を向けようと後ろ向きに歩いていた史奈と、ユラユラと危なっかしく歩いていた紗恵が。
「不意をつかれて驚いた」とでも言うように、揃って声を上げたんだ。
それで終われば良かったんだけど、
『え』
なぜかは分からない。
分からないけど、おそらく愛華が「止まれ!!」と叫んだことと関係があって…
それまで、後ろ向きに進んでいたと思っていた史奈が。
急に私の方に、飛び出してきたんだ…
そして、
「『 いって?!! 』」
気づいた時には、私の額に鈍い痛みが広がっていた。
だから思わず手を充てがった。
直前、史奈の顔がズームするように私に近づいてきたことは覚えている。
そして突然、目の前が真っ暗になったのは…
影に入ったからとか、日が陰ったから、とかではなく。
私自身が危機を感じて、反射的に目を瞑ったからなんだろう。
そして、その直後…
光を失った真っ暗な世界に、1人囚われる中。
ゴインッ!!という音と共に、私の額に打撃があったんだ。