第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
言わずもがな、大会を勝ち上がっていくたびに、サポートチームの負荷が大きくなっていくのは必然とも言える。
選手が少ない…ってのは、純粋に致命的ではあるんだけれど。
マネージャー含め、サポートチームはより一層少ない。
うちの中学は、そのダブルパンチのせいで典型的な“弱小のレッテル”を貼られてきた。
そこに全国出場の権利が与えられたんだ。
急な展開に、全国未経験の学校が順応出来る方がおかしい。
“それでも”だ。
うちのマネージャーたちは、嫌な顔ひとつせず、私たちに着いてきてくれたんだ。
未開拓の東京に。
強豪で溢れる東京体育館に。
不安じゃないわけがない。
私たち5人ですら、心のどこかでは、まだ払拭しきれない不安を隠している。
「だとしても、出来ることの精一杯を」と。
私たち選手が、心配の一つもせずに試合に挑めるようにと。
マネージャーたちは、手となり脚となってくれる。
ついさっきだって、そうだった。
それは、更衣室での“解放の儀”…
準決勝用のユニフォームは、この時点でマネージャーたちの手に渡っている。
行き先は知らないけれど、きっとこれからまとめて洗われるんだろう。
そしてさらに言えば、私はいつも。
この時一緒に、ヘッドバンドを洗ってもらっている。